ハイランドから来た羊飼いの杖/ Antique Shepherd's Crook "A Wallace Strathpeffer"

英国アンティーク、シェパート・クルーク。



英国南東部の競馬場で行われていたフェア。

エントランスから入ってすぐの小さな建物は凝った造りで、バーカウンターや馬の絵の壁画などで飾られ、平時はさぞ雰囲気の良いバーであることを伺わせる造りでした。その中の一角、馬の壁画の前に陣取っていた品の良いご夫妻から買い付けた特別なステッキをご紹介いたしましょう。

仲のよさそうな明るい髪色の小柄なおばあ様と、真っ赤なジャケットを着たカッコいいおじい様。

ストールの手前、一番手に取りやすい場所に置かれたこのステッキを思わず手に取ると、その二人が口を揃えて説明してくれました。「今まで見たことが無いステッキ。シェパート・クルーク/Shepherd's Crook!ほらここに名前も彫ってあるでしょ。」


確かに一般のステッキとは異なる持ち手の形状をしていて、手彫りの文字も印象的。シャフトは野趣あふれ、もともとついていたであろう小枝を落としたような跡もみられます。時代は古く、新しくても(変な表現ですが)19世紀、ひょっとしたらもっと古いかもしれない、とのことでした。木の材については残念ながら不明。曲がり部分の色が抜けたつるりとした部分は、得も言われぬ触り心地で、いつまででも触っていたくなるような誘惑にとらわれます。


とても心惹かれたのですが決心がつかず、また後で・・・といったんはそのブースを離れました。ただ、他を歩いていてもどうしてもこのステッキが心から離れず、やはり戻って手に入れて仕舞いました。(やっぱりね、という顔をされました・・・)



さて、まずは「シェパート・クルーク/Shepherd's Crook」からご説明いたしましょう。
「Shepherd's=羊飼い」「Crook=鍵型の(羊飼いの)杖」の意味から、文字通り「羊飼いの杖」のこと。羊飼いにとっては必需品ともいえる杖で、道のない放牧地を歩き回る自らの助けにもなりますし、持ち手の特殊な曲がり具合の部分で崖や穴に落ちた羊を引き上げたりするのに便利とされています。杖の元祖ともいえるもので、必要に応じて長さはかなり長くできています。

この杖が徐々に短くなってウォーキングステッキに変化した、という説もあります。またいっぽうで、羊飼いが暇つぶしにこの杖を使い、石をうさぎの巣に入れて遊んだのがゴルフ始まりだという説もございます。


そして何よりも印象深いエピソードは、イエスを象徴する杖だという事。キリスト教ではイエスを「善き羊飼い」、信徒を「迷える羊(ストレイシープ/stray sheep)」に例えます。このことから、イエスを描くときに、彼にもたせる杖は「シェパート・クルーク」である、というのが一般的になっているようです。



そしてこの杖の持ち手に彫られた文字は以下の通り。

A Wallace Strathpeffer

この「A Wallace」がおそらく個人名で、「Strathpeffer/ストラスペファー」はスコットランド、ハイランド地方にある村の名前です。そのままとらえれば、ストラスペファーに住んでいた「A Wallace」の持ち物であった、と推測されます。

ストラスペファーは、ネス湖の最寄りの町として有名なインヴァネスから、少し北西に行ったところにある小さな村。ハイランドは山がちなため羊の放牧には適さないのが一般的ですが、ストラスペファーのあたりは河や湖があり比較的平地も多いため、羊の放牧もできそうな地形をしています。


そこに住んでいたであろう「A Wallace」が本当に羊飼いであり、この杖を実際に使っていたかどうかは定かではございません。前述のとおり、キリスト教にも源がありますので、ひょっとして聖職者の杖の可能性もございます。


スターリングシルバーの飾りがある訳でもなく、銘木のように名の在る材でもなく、そのあたりの枯れ木を見繕って、自分もしくはちょっと器用な人に頼んで杖の形にしたもらったようなものの可能性もあります。ただ、この杖を手にし、すべすべの持ち手に触れてみれば、その圧倒的な存在感に心を打たれる方は多いのではないでしょうか。



冷たい風が吹き抜けるハイランドの草地で、羊と共に過ごしてきたであろう1本の杖。

行ったことも無い場所なのに、何故か郷愁を感じた貴方のお手元にお届けしたいと思っています。




こちらからも画像をご確認いただけます。

◆England買付/Scotland
◆推定製造年代:c.19世紀
◆素材:木、真鍮
◆サイズ:長さ約99.5cm 持ち手幅約11cm
◆重量:277g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材のワレや変色がみられます。
*石突部分の接地面の金属はすでに無く、木が剥き出しになっています。
*実際にご使用になる場合はゴムキャップ等を取り付けることをお勧めいたします。
*全長は1m近く、かなり長いステッキです。ご要望によりシャフトのカットを承ります。
*カットは納期がかかります。お急ぎの場合は必ずご注文前にお問い合わせください。
*体重をかけるとわずかにしなりますが、しっかりとした印象です。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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ハイランドから来た羊飼いの杖/ Antique Shepherd's Crook "A Wallace Strathpeffer"

323-277

68,000円(内税)

購入数

CONTENTS

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11月3日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


11月9日(土)
Marunouchi Antique Market
丸の内仲通り
丸の内二丁目ビル前

**ご来場有難うございました**


11月10日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


11月16-17日(土日)
谷中骨董市
延命院(前庭・駐車場)
東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(16日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月1日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


12月7-8日(土日)
谷中骨董市
延命院(前庭・駐車場)
東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(7日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月15日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


【ご注意】
大江戸骨董市は終了時刻が16時ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。