カール・ギボンズ氏のウィンザーチェア / Antique Miniature Wooden Windsor Armchair

英国アンティーク、ミニチュアのウィンザーチェア。



英国カントリー家具の代表格、Windsor Chair/ウィンザーチェア。


17世紀後半より英国で製作され始めたとされており、英国に自生する木、「エルム/楡」を座面とし「トネリコ/ash」や「ブナ/beech」などを他の部位に使ったものが多いようです。
高級品というよりは庶民の実用的な椅子であり、貴族などのお屋敷ではバックヤードであるキッチンや使用人の部屋、もしくは庭などで使われていました。

1720年代頃には移民によってアメリカにも渡り、丈夫で使いやすい椅子としてたいそう流行しました。


ウィンザーチェアの語源については複数の説があり、ジョージ2世(1683-1760)がキツネ狩の際に民家で見つけた椅子を自前の職人に作らせたとする説や、
ジョージ3世(1738-1820)がウィンザー城の王室で使用していたことに由来する説などがありますが、どれも確たる証拠はないようです。
ロンドン西方の町、ハイ・ウィカムは家具の町として有名であり、近くにウィンザー城があることから、そこで作られていたカントリーチェアをウィンザーチェアとよぶようになった、ともいわれます。



今回ご紹介するミニチュアチェアは、このウィンザーチェア。しかもアーム付きです。
座と脚はお約束のエルム、他の部位はアッシュ思われます。
エルムは杢目がはっきりした材が多く、硬いため座や脚に。アッシュは加工がしやすいため曲木部分などに。
それぞれの材の特徴をいかし、ひとつのチェアに組み上げることはチェアメーカーの腕の見せ所といったところでしょうか。


フォルムとしては中央に仕切りが入った「ダブルボウバック」と呼ばれる背もたれ。
クリノリン・ストレッチャー(牛角型の貫)は18世紀からあるデザインです。


興味深いのは、座面の裏側。
ラベルが貼られており、以下の文字がみられます。

Karl Gibbons B.C





少し長くなりますが、ミニチュア家具についての持論を少々述べさせてください。
英国アンティークのミニチュア家具は数種類に分けられます。



1:子供のおもちゃ(おままごと用)
おもちゃとしてつくられたため、作りはそれほど精巧ではなく、若干デフォルメされていることが多い。
子供が遊んできたため、状態が良いものは少ない。

2:ドールハウス用
おもちゃの一種ではあるが、大人も愉しむため、作りは精巧。芸術的なものも多い。
ただし、基本的には1/12のサイズ。(1924年のメアリー女王のドールハウス以降)

3:なにかの用途として
ミニチュア家具の形をとりながら、実は小物入れだったり、ソーイングボックスだったりするもの。
かなりな嗜好品の為、価格はピンキリだが、高いものは驚くほどの高額となる。

4:家具屋のサンプル
カタログとともに、サンプルとして馬車に積み、お客様の元へ売り込みに行くための物。
作りは精巧で緻密。数はそれほど多くなく、良い状態で現存しているものはかなり高価。

5:作り手の試作品
可動式のものの動き方や、木組みの状態、バランス等をみるため、職人が試作品として作るもの。
こちらも数はそれほど多くなく、高値がつくことが多い。



個人的にミニチュア家具が好きなこともあり、今まで様々なものをみてきました。
多くは上記の5つのカテゴリーに分けられると思ってきましたが、最近は「単純に小さくてかわいいから」ともっともシンプルな理由で存在しているものも多くあることに気づき、6番目のカテゴリーが必要かと思っているところです。




さて、今回ご紹介するアームチェアはどれでしょうか?

・・・私の推測としては、「5:作り手の試作品」の一種。

理由はウィンザーチェアというどちらかとえいば庶民的な家具で、わざわざ家具屋がサンプルを紹介する必要があるようなものではないこと。
それでいて木組みやバランスなど木工の熟練した技が必要なので、必ず試作をしたであろう、ということからです。



ということで、このチェアは先述の「Karl Gibbons/カール・ギボンズ」氏が本物を作る前に制作した試作品であろうかと思います。
大きさも本物の大体1/4スケールです。

このカール・ギボンズ氏について詳細は不明ですが、英国の「A DIRECTORY OF 19TH & 20TH CENTURY BRITISH FURNITURE MAKERS AND RETAILERS」というサイトに、「Charles Gibbons/チャールズ・ギボンズ」の名前がありました。
ハイウィカムのオックスフォードロードで、1895年から1915年までファニチャーメーカーとして居た記録が残っています。
あくまでも推測ではありますが、カール・ギボンズ氏はこのチャールズ・ギボンズ氏の家族だったのではないでしょうか。

試作や練習用にカールが作ったウィンザーチェア。
その後、このデザインそっくりな本物のチェアが大量にチャールズ・ギボンズ工房で製作されたのかもしれません。




以上は、あくまでも私の推測。
ただ、このチェアの細かさや丁寧な仕上がり、写真に撮ればミニチュアとはわからない完成度をみると、このチェアを製作した人の熱意を感じずにはいられません。



例えば、貴方の大切なドールやぬいぐるみの特等席として。
もちろん、アートピースとしてご鑑賞いただくのに十二分な完成度がございますので、このままディスプレイしていただいても。



英国アンティーク家具のひとつの代名詞、ウィンザーチェアをお手元でじっくりと愛でる、またとない機会を是非貴方のものとしてください。






参考(英語サイト)
A DIRECTORY OF 19TH & 20TH CENTURY BRITISH FURNITURE MAKERS AND RETAILERS
http://www.achome.co.uk/antiques/furniture_research.htm





こちらからも拡大画像をご確認いただけます。


◆England
◆推定製造年代:c.1900年代頃
◆素材:木(エルム、アッシュ)
◆サイズ:幅約14.3cm 奥行き約13cm 高さ約26.3(座高11.5)cm
◆重量:131g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ごく小さく、華奢な作りです。小さなお子様でも実際に座ることはできません。
*ドールやぬいぐるみ用におすすめです。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。

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カール・ギボンズ氏のウィンザーチェア / Antique Miniature Wooden Windsor Armchair

320-255

0円(内税)

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大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


11月9日(土)
Marunouchi Antique Market
丸の内仲通り
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11月10日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

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11月16-17日(土日)
谷中骨董市
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東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(16日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月1日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


12月7-8日(土日)
谷中骨董市
延命院(前庭・駐車場)
東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(7日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月15日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


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大江戸骨董市は終了時刻が16時ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。